先物やオプション理論価格計算のための配当

oryzaeです
米国テーパリングと次に来ると予想されるFED金利上げ、Evergrande(中国恒大)問題に加え、自民党総裁選、ポジティブニュースがなかなか無い状況での米国の大幅安。それはマーケットも大きく下がってくるところでしょうか。2007-2012年の日本市場低迷期には、ここに円高が加わっていたのですが、今回はこのあたりがちょっとした救いというところなのでしょう。

さて、前回まではVBAでブラックショールズの式を作ってましたが、今回は、そのブラックショールズ式の中で使われる配当予想について少し書いてみようと思います。

昨日2021/9/28は、9月配当に対する権利付き最終日でした。今日から取引するものについては、一般的に言えば、現物株式をもっていても、9月配当はもらえないことになります。

配当がデリバティブ価格に与える影響を少し考察しつつ、オプション価格へどのような影響があるのかを考えてみます。

まずは簡単に先物の理論価格から考えてみます。

今30000円という現物株があるとします。
この現物株を原資産として、1年後に期日を迎える先物があることを想定しましょう。

税金については、すっかり忘れておきます(個人投資家の場合、株価が上がるとか下がるによってキャピタルゲイン課税があったり、人によって税率も一定ではないこともありますが、市場の大半を占める投資家は個人投資家ではないので、市場全体は個人投資家個々の税率では動かないためです)。

この30000円の現物を買うのと先物を買うことの1年後の価値が同じというときの先物の価格が先物の理論価格となります。従って、30000円の現物株式を買った場合の一年後損益と先物を買った場合の一年後の損益を比較すればよいわけです。

一年後の株価はSとしましょう。

現物株式を買った場合の損益は(S-30000円)となれば単純ですが、ご存知のようにそうはなりません。
なぜならば、今30000円の現金を使って現物株式を買うわけですが、その30000円はこの現物株式を買わなければ、ほかのことに使えるわけで、その期待される運用利益分は遺失利益と計算されます。あるいは、30000円の現物株式を買うためには借入しなくてはならない場合には、その支払金利はコストとして考えなくてはならないわけです。これらを市場全体を眺めて平準化したものを無リスク金利としています。無リスク金利の値をrとすると、30000 x r 分を(S-30000)から引かなくはならないです。とはいえ、現在は長い低金利の中なので、あまり大きな影響はないかもしれないですね。

ほかにも一年あると、この株式には配当があるかもしれません。例えば年間で300円の配当があるとすれば、この収益は株式を買った場合の収益として計上する必要があります。これをまた利回りに置き換えておきます。このケースで言えば、300/30000 = 1%ですね。これをdとして表すと30000 x dを加算していくという作業が必要となります。
これらを合わせると結局株式を30000円で買ったときの一年後の収益は

S – 30000 – 30000 x r + 30000 x d = S – 30000 x (1 + r – d) ・・・ (1)

次に先物を買った場合の一年後の損益を考えてみます。現在の先物の価格をPとします。
一年後にはこの価格はSとなります(先物ってそういうものなので)。S-Pが損益に見えますが、本来はここから先物の証拠金にかかわる金利分を差し引かなくてはならない状態です。しかし、前述したように市場全体で言えば、使い道のない資産(塩漬けの社債等)を証拠金として利用できる参加者が多いために、市場全体から見れば、この金利分はゼロとみなして計算していきます。また現物株式を原資産とする先物には配当が発生しないために、ここの考慮も不要となります。そこで単純にS-Pを一年後の損益と考えることになります。

S – P ・・・ (2)

ここで(1)と(2)が等価であることから

S – 30000 x (1 + r – d) = S – P


ここから


P = 30000 x (1 + r – d)が先物の理論価格となります。

ブラックショールズの導出でも同じ議論がベースとなるために、ブラックショールズの式には配当や利回りが出てくることになります(詳細説明はおそらくwikipediaで見るのがわかりやすいとは思います)。

さて、では日経平均の場合はどう考えるのかというところですが、日経平均を構成する225銘柄には昨日取引日で現物を保有していた投資家は、225銘柄中配当のあった分の配当受け取りが発生します。

2021年9月現在、日経225指数の計算方法は、株価に各銘柄固有の調整項目(額面調整のためと簡単に言っておきます)を掛けて、すべてを足し合わせたものを足し合わせた上で、除数と呼ばれるもので除した値になります。ただし、この計算方法は10月より変更されることが発表されているので、細かくはまた10月以降にやらせて頂きます。ただ計算の考え方は同じで、調整項目が額面調整のためではなくなるだけで、日経平均の予想配当はすべての銘柄の予想配当金に各銘柄の調整項目を掛けて足し合わせ、除数で除してやれば日経平均指数に対する配当が計算されることになります。この計算はまた次回でも書かせていただきます。

2021年9月末の日経平均指数に対する予想配当は182円程度でした。この182円が実際のオプション価格にどの程度の影響があったのか今回は確認してみます。

=bsPrem(日経平均の値、行使価格、インプライドボラティリティ、金利、配当、残存年数、コール・プットの別)

配当の影響だけみたいので、残存日数は昨日時点のもので固定して、182円の配当金が権利落ち後に0円となった場合の29000円、29500円、30000円のコール、プットそれぞれの価格の変化を見てみます。

残存日数10日でATM29500でだいたい100円弱の差が出てきているのが判ります。
権利落ちで、日経平均自体も下がりますが、オプション価格にも大きな差が出てきます。市場はこれを織り込んで値付けされていますが、それなりに大きな損益につながるところですので、特に大きな配当月末をまたぐような、4月限、10月限、1月限オプションのときにはお気をつけくださいませ

ではまた

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